二つの老いとは、「建物の老朽化」と「住民の高齢化」のことを指します。現在進行形で社会問題になっていますが、今後ますます深刻化することは統計上明らかです。AQ 最近よく「二つの老い」という言葉を聞くのですが、具体的解説1 「建物の老朽化」について261二つの老いとは、近時社会問題になっている「建物の老朽化」と「住民の高齢化」のことです。まず「建物の老朽化」がどの程度深刻化しているかを統計データで確認します。マンションは1956年から分譲が開始されました。1990年代、2000年代に「新規供給戸数」のピークを迎え、その後現在にかけて、新規供給数はピーク時より落ち着いています(【図表7】参照)。一方で、「分譲マンションのストック戸数」は、1956年のマンション分譲開始以後、右肩上がりで増え続け、2022年末時点のマンションストック戸数は約694.3万戸に達しています(【図表7】参照)。なぜ、「新規供給戸数」は減少しているのに、「分譲マンションのストック戸数」は増え続けているのでしょうか。それは、分譲マンションにおいては、建替えや解体、敷地売却などが難しく、「消滅戸数」が「新規供給戸数」よりも少ないからです。つまり、我が国においては、1956年のマンション分譲開始以後、常に「新規供給戸数>消滅戸数」であり続けているため、年々「ストック戸数」が増加し続けているのです。その結果、築40年以上のマンションストック戸数は、2012年から2022年までの10年で約29.3万戸から約125.7万戸にまで増加しています(【図表8】参照)。さらに、2032年末には約2.1倍の260.8万戸、2042年末には約3.5倍の445.0万戸にまで急増する見込みです(【図表8】参照)。キーワード【二つの老い】【老朽化】【高齢化】にはどういうことでしょうか。問188 二つの老い二つの老い問188 二つの老い
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