マン相
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266今後ますます深刻化する「二つの老い」に対処するため、区分所有法の改正が進められています。法務省の法制審議会区分所有法制部会は、区分所有法の改正に関する要綱案を令和6(2024)年1月16日に取りまとめました。令和6(2024)年中に通常国会に法案提出される予定となっています。本書執筆時点では要綱案しか公表されていませんので、要綱案を基にその概要を紹介します。要綱案は、⑴「区分所有建物の管理の円滑化」、⑵「区分所有建物の再生の円滑化」、⑶「団地の管理・再生の円滑化」、⑷「被災区分所有建物の再生の円滑化」の四つの柱で構成されています。このうち日常的なマンション管理に関する改正は、上記⑴「区分所有建物の管理の円滑化」です。本書の内容も日常的なマンション管理に関する問題を中心に扱っていますので、ここでは上記⑴「区分所有建物の管理の円滑化」の概要を紹介します。上記⑴「区分所有建物の管理の円滑化」を図る方策としては、主に以下の内容が検討されています。① 集会の決議の円滑化◦所在等不明区分所有者を集会の決議の母数から除外する仕組み ◦出席者の多数決による決議を可能とする仕組み◦専有部分の共有者による議決権行使者の指定② 区分所有建物の管理に特化した財産管理制度◦所有者不明専有部分管理制度◦管理不全専有部分管理制度◦管理不全共用部分管理制度③ 共用部分の変更決議及び復旧決議の多数決要件の緩和◦共用部分の変更決議◦復旧決議④ 管理に関する区分所有者の義務(区分所有者の責務)⑤ 専有部分の保存・管理の円滑化◦他の区分所有者の専有部分の保存請求◦専有部分の使用等を伴う共用部分の管理(配管の全面更新等)◦管理組合法人による区分所有権等の取得今後の区分所有法の改正見込み

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