4第Ⅰ章 婚姻・離婚制度の再検討いうことを法的に宣言することになりかねない。 そのため、異性婚と同様の効果があるが別物、というのではなく、法律婚は異性間でも同性間でも可能であるとしなければ、真の平等にはつながらないのである。2 セクシュアル・マイノリティの割合 それでは、そもそもセクシュアル・マイノリティはどのくらいの割合で存在するのであろうか。 株式会社電通におけるダイバーシティ(多様性)課題対応専門組織「電通ダイバーシティ・ラボ」による全国6万人を対象とした調査(「LGBT調査2018」平成30年10月)では、ストレート(異性愛者で、身体と心の性別が一致している人)と答えた人以外をLGBT層とし、LGBT層は8.9%という調査結果が出た。 しかし、調査結果にはばらつきもあり、調査によってはもっと多いものもあれば少ないものもある。 また、セクシュアル・マイノリティ特有の問題として、カミングアウトすることにより差別や嫌がらせを受けるということがあるため、たとえ匿名の調査であっても、自身がセクシュアル・マイノリティであることを隠すということもある。そのため、その数を正確に把握することは難しいが、だからといって存在しないわけではなく、また、人権とはその属性の多さに関係なく、平等に存在するのであるから、少数であっても人権を軽視してよいというものではないのである。 さらには、朝日新聞社が令和5年2月18、19両日に電話で実施した全国世論調査で、同性婚を法律で認めるべきか尋ねたところ、「認めるべきだ」は72%、「認めるべきではない」は18%であるという調査結果が出た。 この調査からも分かるように、自身がセクシュアル・マイノリティであるか否かにかかわらず、同性婚を認めるべきだという声は大きくなっている。 同性婚の対象となる者が何人いるかを必死になって集計して、どのくらいのニーズがあるのかを予測するよりも、同性婚を人権の観点から認めるべき必要がある。
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