2_未来
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あとがき651 はじめに、研究室出身の方々、また種々のゆかりの研究者や実務家の方々から、このような立派な古稀記念論文集を呈された棚村政行教授に、心からお祝いを申し上げたい。このような大きな栄誉は、棚村教授の研究に対するたゆまぬ情熱と、教育に対する熱心な姿勢が結実したものであり、研究者として、また教育者として、大いに誇るべきものである。 棚村君(申しわけないが、ここからは長年のよしみでこう呼ばせていただく)と私は、大学院の高野竹三郎研究室の同門であり、その付き合いは約50年にも及ぶ。彼が修士課程に入学してきたとき、私はすでに博士課程に在籍していたので、授業で一緒になることはほとんどなかったが、研究室のコンパや歓談の場などを通じて親しくなり、私が結婚したときには、ちょっとした介添えをお願いしたこともある。 高野研究室は、研究面では放任といってもよいほどきわめて自由で、修士論文のテーマの選択からその先の進路の決定まで、院生自身に委ねられていた。その中で研究者となった者は7名いるが、それらのいずれに対しても熱心に指導し、研究者としての基礎の形成を扶けて下さったのは、三木妙子先生(早稲田大学名誉教授)である。私の場合、学部ではドイツ法しか学んだことがなかったが、先生が開いてくださった英法の読書会で、1文、1節の中に含まれる意味を解明してゆく面白さに気づかせていただいた。結局私はドイツ法研究の道を歩んだが、そのときの気づきがモラトリアム気分を払拭し、研究者の道を進む覚悟を決めるきっかけとなった。その後3年のイギリス留学の期間を挟んで先生は法学研究科で授業を持たれるようになったが、棚村君はまさにその一期生であり、そこからアメリカ法研究を基礎とした家族法研究者の道を歩み始めたのである。彼の、今日までの質、量ともに豊かな業績は、この三木先生の指導を礎として築かれたものであり、先生が棚村君に掛けられた期待に応えて余りあるものといってよいであろう。あとがき

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