62000年代に入り,アジア諸国の台頭が目立ち始め,製品の開発スピードが非常に早くなると,他企業に先駆けて製品を投入する必要性が生じ,イノベーションの質のみならずそのスピードが重要視されるようなった。このような市場環境では,自社の経営資源や自社での研究開発成果のみに頼っていたのでは,競争に負けてしまう。そこで,社内の技術と,社外の技術をかけ合わせてイノベーションを起こそうとする動きが生じてきた。ただし,この動きは,大企業に欠けているパーツをベンチャー企業や大学の技術で埋めるなどの,1対1の相互補完連携が中心であった。技術法務が生み出されてから10年以上の月日が経ち,技術法務が以下のように再定義された8)。①技術を付加価値として事業を展開する事業体が,②その事業を遂行するに当たって直面する様々な問題について,③法務・知財をボーダレスに駆使するとともに,単に法的・知財的な視点のみならず,ビジネス的な視点から,④当該事業体の経営者と議論し,アドバイスし,⑤その事業の競争力を向上させるべく行う法律的な業務鮫島正洋編集代表『技術法務のススメ』(日本加除出版,2014年)5頁そして,この間,技術法務を提供した多くの事例が蓄積された9)結果,知財と法務を有機的一体的に提供するための知財戦略セオリ(必須特許ポートフォリオ理論等),及び契約実務セオリ(主たる法律関係,従たる法律関係(スキーム条項,リスクヘッジ条項等))も確立され10),同セオリは上記の鮫島正洋編集代表『技術法務のススメ』に掲載された。8)鮫島正洋編集代表『技術法務のススメ』(日本加除出版,2014年)5頁9)前掲注8・鮫島345頁〜371頁では,技術法務を適用した事例が掲載される。10)前掲注8・鮫島知財実務セオリについては14頁〜80頁,契約実務セオリについては142頁〜340頁⑵ 技術法務2.0(セオリの確立)2 技術法務2.0(〜2014年)⑴ オープンイノベーションの進化
元のページ ../index.html#24