8以下の図は,ある事業分野に参入を決定してから,製品がリリースされるまでの典型的なステージ(A〜E)において,締結され得る契約,及び出願され得る特許を示したものである。技術法務におけるA〜Eの各ステージの留意点を,次頁の表にまとめた。Aのステージでは,最終的な事業目標に到達するまでの契約,特許の全体像をロードマップにし,契約と特許の関係を整理する。具体的には,ビジネスゴールのために,いつまでにどのような契約が必要であり,当該契約を締結するには,いつまでにどのような特許の取得が必要かを整理する。最終的な収益モデルが新規な場合,この場面でのビジネスモデル特許の発掘もなし得る。この時点で,事業目標のために,特定の提携先との契約が必要であれば,どのような特許が,どの分野に何件必要かを逆算して,発明発掘・出願行為を行う。Bのステージでは,基礎技術を確立する場面であり,技術志向の特許の発掘が重要である。他方,社外との連携も始まりつつあり,NDAやPoC契約の検討もなされるが,自社特許の強さを考慮して,開示する情報の範囲・連携の範囲を画することが肝要である。Cのステージでは,共同開発を行う対象となる技術において,権利が共有となると,以後の事業に制約13)が生じ得ることに注意が必要である。すなわち,自社の研究・特許の強みを考慮の上,ビジネスゴールを見据え,共同研究の要A 参入分野・事業戦略決定B 基礎技術開発・PoC確立C (他社と共同開発)D UI・量産技術開発E 製品リリースNDAPoC契約共同開発契約開発委託契約取引基本契約ライセンス契約アイディア特許ビジネスモデル特許技術志向特許共同開発特許改良特許量産技術特許【ビジネスステージにおける契約・特許】13)特許が共有に係るときは,他の共有者の同意を得なければ,自身の持分の譲渡や,ライセンスは,原則許されない(特許法73条)。
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