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4 著作権による保護の可能性B氏永島B氏永島4)応用美術については,著作権法10条1項4号(「絵画,版画,彫刻その他の美術の著作物」)所定の「美術の著作物」該当性が問題となる。22特許権の登録の前に他者から類似品が販売された場合,不正競争防止法の形態模倣という不正競争行為に該当する可能性がありますので,これを根拠に模倣者に対して権利行使することが考えられます(同法2条1項3号)。へぇっ,そういったものまであるのですね。注意点としては,期間制限があることでして,日本国内において最初に販売された日から起算して3年間に限定されています(不正競争防止法19条1項6号イ)。また,模倣品は,デッドコピーといえる程度に類似している物である必要があります。法文上は「模倣」であり,これは,「他人の商品の形態に依拠して,これと実質的に同一の形態の商品を作り出すことをいう。」とされます(同法2条5項)。少なくとも,応急処置的な対応としては使えるというわけですね。先生,ちなみに,著作権はどうでしょうか? 最近,うちの高校生の娘が学校の課題で調べたようでして,美術性のあるものは著作権で保護されると申していました。はい。著作権でも保護される可能性はゼロではありませんが,「照明付きスピーカー」のような実用品が著作権で保護されるハードルは,ひょっとすると,商標権や周知・著名な商品等表示よりも高いかもしれません。実用品は,応用美術と呼ばれる,実用に供され,あるいは産業上の利用を目的とする表現物に分類されますが4),応用美術が著作権で保護されるためには「美的鑑賞の対象となり得るような美的創作性を備えていることを要する」と言われたり,「創作性を備えているものとして著作物性を認められる余地が……狭く,……著作物性を認められても,

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