ii コンプライアンスが重視される現代社会において,法律違反にならない事業を行うことが重要なことは当然のことであり,ここに弁護士や法務担当者の活躍の場が見出せます(第1章1)。 また,資金調達についても重要な問題です(第2章1~3)。 世界を変える可能性を秘めるような技術革新には高額な資金が必要だからです。資金調達にあたっては株主間の利益対立も生じます(第1章4)。資金が動くところにリスクはつきものであり,弁護士がアドバイスを行う必要性は極めて大きいと思われます。 技術革新が生じるような事業を生み出すためには優秀な人材が必要ですから,優秀な人材をどのように上手く扱えるかということは非常に重要な問題です(第3章)。とりわけ,日本の労働法は,気を付けなければならないことが多い法分野です。 新しい技術となれば知財戦略も重要になってくるでしょうし(第4章),大手企業等との付き合いを考えれば契約書等の作成や社内整備,コンプライアンス等も重要です(第5章)。 スタートアップが更なる大きな舞台へ羽ばたく意味でIPOなども重要になってきます(第6章)。 これらの全てに弁護士の存在が重要であることはいうまでもありません。 そして,これらの業務の大半は,弁護士を数百名も抱えるような大手事務所でなくても全ての弁護士が関与し,活躍することが可能です。企業法務に携わる弁護士にとっては,どのような弁護士であれ,スタートアップ法務を理解せずに業務を行うことはできない世の中になっていくはずです。 本書では,弁護士にとどまらず法務担当者など,どのような方でも分かりやすく活用できるよう,可能な限りチェックリストを掲載し,簡単に確認できるようにしています。 そのため,本書では,敢えて難解な法律論やニッチな内容には踏みはしがき
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