判相1
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22 第1章 総  則割の長期化の防止等の観点から,民法・不動産登記法等の改正が行われた。改正は多岐にわたるが,相続法に関係する改正点は以下のようなものである。ア 共有制度の見直しア 共有物の変更・管理の見直し① 共有物の変更・管理の内容の見直し(民251条1項)② 共有物の変更管理に関する非訟手続の創設(民251条2項,非訟85条)③ 共有物の管理者制度の創設(民252条1項かっこ書,252条の2)④ 共有物を使用する共有者に関する義務の創設(民249条2項)イ 共有関係の解消に関する規律の見直し① 共有物分割訴訟の規律の見直しa 分割方法の明文化(民258条)b 遺産分割共有持分の分割に係る特則の創設(民258条の2)② 共有物分割訴訟等を経ないで所在等不明共有者の不動産の共有持分を取得・譲渡する制度の創設(民262条の2,262条の3)イ 相続制度の見直しア 相続財産の管理に関する規律の見直し① 相続財産の保存のための統一的な財産管理制度の創設(民897条の2)② 相続放棄者の相続財産管理義務の見直し(民940条)③ 財産管理制度における供託に関する規律の創設(家事146条の2)イ 相続財産の清算に関する規律の見直しウ 遺産分割に関する規律の見直し① 具体的相続分の期間制限(民904条の3) 遺産分割における具体的相続分の算定が困難なことから,遺産分割がなされない事案が少なくないため,遺産分割を促進するべく,改正民法では,相続開始から10年を経過した後になされる遺産分割については,原則として,特別受益及び寄与分の規定が適用されないとされた。② 遺産分割調停・審判の取下げ制限(家事199条2項,273条2項) 改正前民法は,遺産分割の調停・審判の取下げは自由であったが,本改正により具体的相続分に期間制限が設けられたことに伴い,相続開始

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