から10年を経過した後は,相手方の同意を得なければ,取下げの効果が生じないとされた。③ 遺産分割の禁止に関する規律の見直し(民908条) 本改正により具体的相続分に期間制限が設けられたことに伴い,共同相続人間の合意による遺産分割の禁止,及び家庭裁判所の審判による遺産分割の禁止に関して,いずれも相続開始から10年を超えることができないとされた。ウ 相続土地国庫帰属制度の創設 改正前民法では,土地所有権の放棄などをするための規律や制度は存在しなかった。そこで,新法として,相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律が制定され,相続等により土地を取得した相続人から申請があった土地のうち所定の要件を満たしているものについて,法務大臣の行政処分により国庫に帰属させるという制度(相続土地国庫帰属制度)が創設された。エ 相続登記に関する規律の見直し(不動産登記法76条の2第1項,164条1 改正前民法では,所有者不明土地が発生する最大の原因として,相続登記が行われないことが指摘されていた。本改正では,◦ⅰ相続人又は遺贈により所有権を取得した相続人に対して登記申請義務を課し,◦ⅱ法定相続登記又は相続人申告登記がされた後に遺産分割により権利を取得した者に対して登記申請義務が課され,◦ⅲ正当な理由なく,これらの義務に違反すると,10万円以下の過料に処せられるとされた。項)第1節 序 節 23
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