判相2
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1 趣 旨2 法定相続分 相続分とは共同相続に際して各共同相続人が相続財産を承継すべき割合,すなわち,各共同相続人が取得しうべき相続財産の総額に対する分数的割合をいう(民899条)。割合を示すことから相続分率と呼ばれることもある。この相続分は,まず,被相続人又はその委託を受けた第三者の指定によって決定され(民902条),指定がない場合には,民法の定めるところにしたがって決定される(民900条)。前者を指定相続分と呼び,後者を法定相続分と呼ぶ。 もっとも民法は相続分という語をこれと異なる意味に用いる場合がある。民法903条にいう相続分は,相続分率によって算定された相続財産額又は現実に取得する財産額を意味する。そこで,同条の相続を相続分率と区別する意味で相続分額と呼ぶこともある。 また,民法905条にいう相続分は,遺産分割前に,各共同相続人が相続財産全体に対して持つ包括的持分あるいは法律上の地位を意味するとされ,相続分権とも呼ばれる。さらにいえば,ここにおける相続分権とは,相続によって承継した権利義務を含むことから,これらを総称する意味で,法律上の地位という呼称が相応しいといえよう。⑴ 昭和55年法律51号による民法の一部改正(昭和56年1月1日施行) 配偶者は血族相続人と並んで常に第1順位の相続人であるが,その相続分は昭和55年法律51号による改正によって引き上げられた。すなわち,配偶者と子が相続人である場合,改正前は,配偶者が3分の1,子が3分の2であったが,改正により,配偶者が2分の1に引き上げられ,子が2分の1に引き下げられた。配偶者と直系尊属が相続人である場合,改正前は,配偶者,直系尊属ともに2分の1であったが,改正により,配偶者が3分第4節 相 続 分 1第4節 相 続 分

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