判相2
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4 第3章 相続の効力3) 法典調査会民法議事連記録7巻558頁,559頁。民法修正案理由書269頁,270頁も,明治民法1004条の解説において,「庶子及ヒ私生子ノ相続分モ亦嫡出子ノ相続分ト同一ト為スニ於テハ正当ノ婚姻ニ因リテ生マレタルニ非サル者ノ利益ヲ保護スルコト重キニ失スルノミナラス庶子及ヒ私生子ガ利益ヲ受クル点ニ於テ嫡出子ニ及ハサルコトハ古来慣例上普通ノ状態タルニ因リ本条ハ特ニ但書ノ規定ヲ設ケ嫡出子ノ外庶子又ハ私生子アル場合ニ於テハ庶子及ヒ私生子ノ相続分ハ嫡出子ノ相続分ノ2分ノ1ニ止マルモノト為セリ」と,同旨を述べる。4) 最高裁判所事務総局編・民法改正に関する国会関係資料─家庭裁判資料34号189頁,506頁中の政府委員の答弁ト見ルガ当リ前デアリマスカラ,ソレ故ニ嫡出子ト庶子トノ分量ヲ違ヘタノデアリマス。只其ノ分量ノ違ヒ方ニ付キマシテハ,全ク程度ノ違ヒデアリマシテ,必ズ半分デナケレバナラヌト云フコトハ道理上ノ標準ハナイノデアリマス。我国ニ於キマシテハ大宝令抔デハ此庶子ト云フ字ハ少シ用イ方ガ違ヒマスガ,此嫡出子ノ半バヲ受ケル嫡子ガ二分庶子ガ一分ト云フコトニナッテ居リマス…(中略)…先ヅ試ミニ是ハ半分丈ケノ相続分ヲ受ケルト云フコトニ極メマシタノデアリマス」と述べ,法律婚の尊重という実質的理由及び我が国のこれまでの法制度を斟酌して,嫡出子と庶子の相続分に差を設けたこと,また,その差を2分の1とした点については,確たる理由があったわけではないことがうかがえる。3)梅謙次郎は,明治民法1004条の解説において,「嫡出子ナルト,庶子若クハ私生子ナルトニ因リ,相続権ノ同シカラサルハ,古今東西皆同シキ所ナリ。我邦ニ於テモ令ニ庶子ハ嫡子ノ半分ヲ受クルモノトセリ(戸令応分条)。是レ必スシモ今日ノ庶子ノミニハ非スト雖モ,亦以テ参考ニ資スヘキ故ニ,本条ニ於テモ庶子,私生子ハ嫡出子ノ半分ヲ受クヘキモノトセリ」と述べ,過去の法制度や諸外国の立法からしても嫡出子と庶子の相続分に差があるのは当然であって,その差を2分の1としたのは,養老令の戸令応分条にならったものであると説明する。 そして,現在の民法に引き継がれる際にも,この規定の改正の是非が議論されたが,嫡出でない子と嫡出子とのこのような差別は正当な婚姻を奨励尊重するための合理的な差別であるとされた。4) さらに,昭和55年の民法改正の際にも問題となり,法務省民事局参事官室が発表した民法の改正要綱試案では,嫡出でない子の相続分を嫡出

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