判相2
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 なお,配偶者については代襲相続が生じないとされている。ア 子の代襲相続人の相続分 子の代襲相続人となる直系卑属の相続分は,その直系尊属に当たる被代襲者が受けるべきであった相続分と同じである(民901条1項本文)。代襲相続は,被相続人の死亡また相続欠格・廃除による相続権喪失によって,その直系卑属が不利益を受けないようにするための制度である以上,代襲相続人の相続分は被代襲者の受けるべきであった相続分と同じであるとされたのである。代襲相続人が一人である場合には,その者は被代襲者の相続分をそのまま承継するが,代襲者が数人あるときは,その各自の相続分は被代襲者が受けるべきはずであった部分について,民法900条の規定に従って定められる(民901条1項ただし書)【例6】。887条,889条2項)。民法901条はこの代襲相続人の相続分を定めたものであって,1項は子の代襲相続人となる直系卑属の相続分について規定し,2項は兄弟姉妹の代襲相続人である子の相続分を規定する。民法901条2項も,昭和55年法律51号によって改正され,改正前は兄弟姉妹の代襲相続人は兄弟姉妹の直系卑属とされていたが,かかる範囲まで相続人を拡大するのは,被相続人との親族的なつながりの面から問題があり,また代襲相続人を探し出さなければならない点で遺産分割に支障をきたすとの趣旨から,代襲相続人は兄弟姉妹の子,すなわち,被相続人の甥,姪までに制限された。第4節 相 続 分 11

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