判相2
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 本書は,実務家族法シリーズの一書として,判例・先例を中心に相続法における実務上の問題点の概観をこころみるものである。2分冊の構成とし,本巻は民法第5編第1章から第3章までを扱い,続巻において以後の各章を扱う。本巻の副題を遺産分割としたのは,近年遺産分割をめぐる紛争が増加し,紛争処理に際して問題点が多く指摘されていることから,その記述に紙数をさいたためである。 本書は故岡垣学判事が執筆された先例・判例相続法(昭和46年日本加除出版社から刊行,同53年増補)の趣旨を受け継ぐものである。もっとも,本書では,実務上の問題点の把握とその解明のためには学説の存在が不可欠であることから,その紹介につとめたほか,裁判例についてはその要旨を掲げることとし,また下級審の裁判例も多く登載した。なお,判例・先例及び学説がその見解を異にする問題点も少なくなく,かかる場合には筆者の私見を述べることとしたが,これについては読者の方々のご批判を待ちたい。 本書が裁判所等における実務処理の実情を知る手がかりとなることができれば幸いである。 本書の刊行にあたっては,日本加除出版株式会社出版部長小柳則康氏をはじめ同社の方々のご協力を得ることができ,とりわけ同社出版部の滑 俊彦氏には資料の収集などひとかたならぬお世話になった。ここに記して深く謝意を表する。  平成6年3月はしがき vはしがき松 原 正 明

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