第3版 戸籍のためのQ&A「離婚届」のすべて
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6離婚の届書を作成し,署名するときには離婚する意思はあったが,市区町村長に届出をするときには,夫婦の一方が離婚する意思を失くしたときは,その者の離婚意思はどうなりますか。〔注〕 平成19年法律第35号をもって「戸籍法の一部を改正する法律」が施行され(平成20.5.1施行),同法に第27条の2が新設されました。これにより,従来,法務省民事局長通達(昭和51.1.23民二900号通達)により取扱われていました離婚届等の不受理申出制度は,同条の第3項から第5項にあらたに不受理申出についての規定が設けられました。不受理申出ができる届出は,認知,縁組,離縁,婚姻又は離婚の届出に限るとされています(同条3項,「戸籍」815号68頁)。〔参考文献〕 「改訂設題解説戸籍実務の処理Ⅴ⑵」9頁,「最新体系・戸籍用語事典」235頁,「戸籍」801号1頁,814号1頁,815号1頁7QA1 実質的成立要件 離婚の意思はないものと解されます。 ただし,当該離婚の届出がされた場合における市区町村長の審査は,いわゆる形式審査主義に基づいて行われますから,当事者の一方の意思を欠く届出がされたとしても,市区町村長は当事者の意思を確認するというような取扱いをすることにはなっていません。したがって,当該届出が適式な届出であれば受理され,戸籍に記録されることになります。 前述のような当事者の意思を欠く届出は,実体的に無効であります。しかし,いったん市区町村長においてこれが受理され,戸籍に記録された場合は,それを訂正,消除するには,その記録を無効とする確定判決(審判)等を得て戸籍訂正の申請をしなければなりません(戸116条・113条)。 本問の場合は,夫婦の一方が離婚をする意思を失くしたが,他の一方が当該離婚届書を所持し,その届出をするおそれがあるというもの

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