◆1 婚姻の成立要件4 婚姻届 婚姻の意義は「一組の男女の継続的な共同生活を目的とした法的結合関係」とされています。たとえ事実上夫婦として生活(事実婚)していても,婚姻届を出さなければ法律上の夫婦とはみなされません(民739条)。婚姻届を出して婚姻することを「法律婚」といいます。「婚姻は,両性の合意のみに基いて成立し……(憲24条)」とうたわれていますが,ここでいう「両性」とは,二つの異なる性(男性と女性)であると考えられており,日本の法律では同性間の婚姻は認められていません。 では,婚姻の成立要件から見ていきましょう。① 婚姻しようとする者の間に意思の合致があること(民742条1号)。② 婚姻年齢に達していること(民731条)。※ 男性は18歳,女性は16歳で婚姻できます。これを婚姻適齢といいます。※ 平成30年法律第59号(令和4年4月1日施行)の民法一部改正により,婚姻適齢は男女ともに18歳にな③ 重婚でないこと(民732条)。④ 女性は前婚の解消または取消しの日から100日を経過していること(民733条1項)。 これを再婚禁止期間(または待婚期間)といいます。再婚禁止期間は,婚姻解消の日から数えます(民733条1項,平28・6・7民一585依命通知)。婚姻解消の日とは,協議離婚の場合は離婚届を出した日,死別の場合は配偶者死亡の日,裁判離婚の場合は調停成立の日,または審判・判決等の裁判が確定した日です。再婚禁止期間があるのは,離婚(死別)してすぐに結婚すると,子が出生した場合に嫡出推定が重なり,前夫または後夫の,どちらの夫の子なのかわからなくなる父未定の子が出生する場合があるからです。ただし,婚姻解消時に女性が懐胎していなかった場合,前婚解消後に出産した場合には,この期間を待たずに婚姻できるとされています(医師が作成した「民法第733条第2項に該当する旨の証明書」を添付する。※ 民733条2項,平28・6・7民一584通達)。「再婚禁止期間は嫡出推定が重ならないように設けられた」という意味から考えて,次のように再婚禁止期間を待たずに,すぐ再婚できる場合もあります。※ 後掲フローチャートの婚姻③(35頁~),「窓口の『どうしたらいいの』事例集」事例3(266頁)の解ります。説を参照してください。第1 婚姻届を審査するときの基本的な事項
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