◆1 離婚復氏後の戸籍法77条の2の届第3 基本のフローチャートに当てはまらない離婚・婚氏続称に関する届書 101 民法767条1項では「婚姻によって氏を改めた夫又は妻は,協議上の離婚によって婚姻前の氏に復する。」と規定され,同条2項では「前項の規定により婚姻前の氏に復した夫又は妻は,離婚の日から3箇月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって,離婚の際に称していた氏を称することができる。」とされています。また,この規定は裁判上の離婚の場合も準用されます(民771条・767条)。 民法767条2項は,婚姻により氏を改めた者が,離婚により婚姻前の氏に変わることで,社会生活上の不利益が生じないように設けられたものです。 この「離婚の際に称していた氏を称する届(戸籍法77条の2の届)」は,「婚氏続称(こんしぞくしょう)の届」とも言われ,婚姻していた当時の氏を,離婚後も引き続き称することができるものですが,この届出により称する氏は,あくまでも呼称上の氏であって,民法上の氏は婚姻前の氏にもどっているということに留意する必要があります。 「離婚の際に称していた氏を称する届(戸籍法77条の2の届)」は,離婚届と同時に届出することもできますが,いったん婚姻前の氏に復してから後でも,離婚の日から3か月以内であれば届出をすることができます。 離婚復氏後に,「離婚の際に称していた氏を称する届(戸籍法77条の2の届)」の届出があったときは,復氏した夫または妻が,離婚後に復籍している場合には新戸籍を編製しますが,離婚した際に新戸籍を編製し,他の在籍者がいない場合は,新たに戸籍を編製しないで,当該戸籍に氏変更事項を記載することになります(戸19条3項)。 また,離婚復氏後に,子の入籍などの理由で,他に在籍者がいる場合には,戸籍法77条の2の届をした者につき新戸籍を編製することになりますが,従前戸籍にある子などの在籍者が,戸籍法77条の2の届をした者の新戸籍に入籍したいときは,互いに民法上の氏が同じなので民法791条に基づく入籍届はできませんが,家庭裁判所の許可を得ることなく「父又は母(養父又は養母)と同籍する旨の入籍届」を届出することにより,入籍することが認められています(昭62・10・1民二5000通達第4の2⑵)。
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