補訂版はしがき i 平成27年12月に,本書の初版を刊行してから,早いもので5年の歳月が経過しました。本書は,まさに戸籍の窓口の現場で戸籍行政の実務に携わっておられる皆様をはじめ,大変多くの方々に,ご愛読をいただき,おかげさまで,このたび版を重ねることとなりました。心から感謝申し上げるとともに,身の引き締まる思いでおります。 この間,本書が解説しております婚姻,離婚,親権,未成年後見という身分行為に関して,重要な法改正がありました。具体的に主なものを挙げると,平成28年法律第71号による民法改正で,第733条の再婚禁止期間が100日間に短縮され,かつ,同条第2項により再婚禁止期間の経過を必要としない取扱いについて,新しい運用が開始されました(平成28年6月7日施行)。また,平成30年法律第59号の民法改正では,第731条の婚姻適齢が男女ともに18歳とされることとなり,同第4条の成年年齢の引下げと合わせて,婚姻に関して,これまで必要とされていた未成年者の婚姻における父母の同意や,成年擬制といった制度が廃止されるなど,大変大きな変更が予定されています(成年年齢等の改正は,令和4年4月1日の施行予定です)。 このような重要な改正がされたこともあり,このたび,本書の版を重ねるにあたって,必要な修正および今後の改正予定に関しての情報を追加し,補訂版として,改めて皆様にお届けすることといたしました。 必要最小限ではありますが,本書のコンセプトに沿う形で,フローチャートに新しい届書・記載例を追加するとともに,施行前の改正された条文に関連する部分には,注意を促すコメントを付しています。本書をお読みくださる方々のお役に立つことができれば幸せです。 昨今,家族法の分野では,多くの重要な判例が出され,法改正が予定・検討されています。それに伴い,戸籍の現場では,これら実体法や手続法の改正に係る修正,変更が予想されます。さらに,令和元年5月31日の法律第16号,17号による改正では,新しい戸籍関係情報の管理システムの整備,情報提供ネットワークシステムの構築によって,今後,戸籍の現場も,大きな転換期を迎えることでしょう(これらの大改正の施行は5年後に予定されています)。 戸籍実務を担当される皆様には,新制度への対応も含め,大変な時期を迎えることと思いますが,これからも前向きに戸籍と向き合い,日々の学習を怠らず,より一層ご活躍されることを心からお祈り申し上げます。 私は,愛する戸籍の現場を引退しましたが,これからも,かつての仲間や,研修の講補訂版はしがき
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