不書2
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⑴ 屋根及び周壁又はこれらに類するものを有すること(外気分断性) 登記することができる建物であるためには、屋根及び周壁又はこれらに類するものを有し、これによって外気が遮断され自由に侵入してこない構造であること、また、人間が外部から遮断された空間で安心して寝起きし、食事をし、仕事をする(人貨滞留性)ことができなければならない。 判例は、「建物トハ土地ニ定著シ風雨ヲ蔽ヒ人ノ出入ニ適スル工作物ナルヲ以テ(明治45年3月23日法曹會決議法曹記事22卷5號68頁)此要件ヲ具備スル以上ハ不動産タル建物ナリト云ハサルヘカラス……登記ヲ為スヲ得ルニハ……完成シタル建物ノ存在ヲ必要トセス工事中ノ建物ト雖巳ニ屋根及周壁ヲ有シ土地ニ定著セル一個ノ建造物トシテ1第4章 建物の表示に関する登記第1節 建物の意義1 建物とは 建物は土地に定着する建造物であり、土地とは別個独立の不動産として取り扱われる(民86条1項、法2条1号)。しかし、土地の上に存在する、どのような建造物を建物というかについては、民法及び不動産登記法のいずれにも、その定義についての規定はない。そのため、登記能力を有する建物であるか否かの認定については、登記官が、独自に判断しなければならない。 そこで、登記官の建物の認定に関して統一的な取扱いを図るため、登記実務上では、「建物は、屋根及び周壁又はこれらに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供し得る状態にあるものでなければならない。」(規則111条)とする認定基準が定められている。すなわち、登記することができる建物といえるためには、「外気分断性」、「定着性」、「用途性」の三つの要件を満たしていることが、必要であるとされている。各要件の詳細は、以下のとおりである。

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