第4章 建物の表示に関する登記4されるが、建物の利用状況等、その用途性を勘案して、最低、どの程度の周壁があれば建物として認定するかを判断することになると考えられる。そこで、近時は、建造物に対する需要が多様化するとともに、建築技術の進歩によって建造物の形態も多様化して、種々の構造を持った建造物が出現し、周壁の全部又は一部が欠落した建造物も見受けられることから、具体的な利用目的を有しているとして、壁が一方のみの建造物を建物と認定することは、当該建造物の客観的支配の限界、すなわち建物の範囲(床面積)の判断等で問題があると考えられる。 他方で、三方が壁等で囲まれた屋根付きの駐車場や、三方を壁で囲まれた屋根付き建造物で、その利用目的が「ゴルフ練習場」、「材木資材置場」、「トラックターミナル荷物積卸場」等、特定の具体的な利用目的に供し得る場合には、建物として認定して差し支えないと解される。 実際の登記実務においては、登記官が、具体的な構造、利用状況等を勘案して、個々の建造物ごとに建物の認定の判断をすべきことになるものと解される。① 定着性 建物は、土地の定着物(民86条1項)であるから、登記することができる建物であるためには、物理的に土地に固着していることが、最低の条件である。したがって、機械上に建設した建造物(準則77条2号イ)、浮船を利用したもの(固定しているものを除く。)(同号ウ)及び容易に運搬することができる切符売場又は入場券売場等(同号オ)は、建物として取り扱わないものとされている。 なお、土地への固着は、必ずしも土地に直接付着していることを要しない。上記の機械上に建設した建造物であっても、地上に基脚を有し、又は支柱を施したものは建物として取り扱われ(同号イただし書)、また、海底から海面上まで脚柱を設け、桁けた梁りょう及び床板でこう結した永久的な構造物である「さん橋」の上に家屋を新築して⑵ 土地に定着した建造物であること(定着性)
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