不書2
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第1節 建物の意義登記の申請(当時の台帳申告)があった場合は、当該さん橋の接続している土地の地先所在の家屋として、当該登記申請を受理することができるとされている(昭和31・4・7民事甲第755号民事局長回答、昭和34・12・26民事甲第2982号民事局長回答)。さらに、造船台上の移動起重機の構台の一部及び造船台隣接の溶接工事場の走行起重機の構台を利用し、移動式掩えん蓋がいを設けた工作物で、その一部に外壁を有するものは、全体を1個の家屋として取り扱って差し支えないとされている(昭和32・4・9民事甲第712号民事局長回答)。② 永続性 定着性の意味は、絶対的に移動不可能な状態で土地に固着している場合のみを指すのではなく、当該建造物が永続的に利用されることが、そのものの本性であると認められると解されている。従来の木造住宅の多くは、近時のコンクリート基礎上の支柱をボルト等で固定するという工法と異なり、ボルトで固着することなく柱石の上に柱を立てて建築されていたが、そのような工法であっても、当該住宅は、人が長期にわたって居住するために建築されたものであり、定着性・永続性を有していると判断されることになる。すなわち、建物に定着性があるというためには、上記のとおり、その建造物自体の本性が、永続性を有しているものでなければならないから、建造物の構造、利用目的からみて、相当の長期間継続して土地に付着し移動させることなく利用するものと認められることが必要である。したがって、物理的に堅固な状態で土地に付着した建造物であっても、その利用目的からして、限られた期間が経過すれば撤去され、又は他の場所に移転される建築工事現場の事務所、住宅展示会場に築造される展示用モデルハウス、いわゆるキャンピングハウス(キャンプのための移動性家屋)等は、一般に定着性を欠いていると認定され、建物として登記することはできないと考えられる。① 用途性 上記のとおり、登記することができる建物といえるためには、そ5⑶ その目的とする用途に供し得る状態にあること(用途性)

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