第4章 建物の表示に関する登記6の建造物が、一定の生活空間、人貨滞留性を有し、その目的とする用途に供し得る状態になければならない。すなわち、人間が、外部から遮断された空間で、安心して生活し、仕事に従事し、物を貯蔵する等の空間がなければならない。ただし、極端に床面積の小さいものや天井の低いものは、そもそも人貨滞留性がないといえるので、具体的用途を考慮するまでもなく、建物と認定することはできない。そこで、建物の一部の天井の高さ1.5メートル未満の地階屋階等(特殊階)は、階数及び床面積に算入しないものとされている(準則81条4項、82条1号)。 なお、規則113条は、建物の種類は、建物の主な用途により定めるとしていることから、建物の用途は、建物の種類に対応しているとみることができる。そこで、登記官が用途に従った人貨滞留性の有無を判断するための用途は、当該建物の表題登記の申請情報の内容とされる当該建物の種類によって、確認することができるといえる。 また、登記することのできる建物は、必ずしも完成したものであることを要せず、床、天井がなくても屋根及び周壁を有した土地に定着した1個の建物で、その目的とする使用に適当な構成部分を具備すれば足りるとされていることから(昭和24・2・22民事甲第240号民事局長回答)、例えば、建物を倉庫として利用する場合には、床や天井がなくても建物として取り扱うことが可能であり、一方、建物を旅館として利用する場合であれば、床や天井があるだけでなく、さらに、その目的とする旅館の営業の用に供し得るだけの構造を備えていなければならないと解される。② スケルトン・インフィル分譲住宅 近年、分譲住宅においては、建物の躯体(スケルトン)と住戸内部の内装、間仕切り等の設備部分(インフィル)の建築部分を区分することにより、共同住宅の骨格、構造部分が完成した段階で当該スケルトンを購入した者が、間取りやインフィルを自由に選択することができる共同住宅(スケルトン・インフィル分譲住宅)の需要が
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