第3節 区分建物の意義分建物とは、区分所有法1条を根拠として成立する1棟の建物の各部分、すなわち、同法2条3項に規定する「専有部分」であるといえる。 法2条22号及び区分所有法1条に規定する区分建物としての要件は、構造上の区分性を有すること、及び利用上の独立性を有することである。 なお、1棟の建物に区分所有の目的とすることができる部分があるときは、その各部分をそれぞれ独立の区分建物とするか、又は相隣接する数個の部分を併せて1個の建物とすることも差し支えなく、また、1棟の建物を階層的又は縦断的に区分して、それぞれを区分建物とすることも所有者の意思による。そして、1棟の建物が区分建物としての要件を満たす場合に、その全部を所有する者が、当該建物が区分建物であることを対外的に確定的に主張するためには、その旨の登記を要する。① 構造上の区分性 建物のある部分が区分所有権の目的となるためには、1棟の建物のうち、区分建物とされる部分が、構造上、区分された部分であること、すなわち、建物の構成部分である仕切壁(障壁)、階層(床)、及び天井等によって、他の建物の部分と完全に構造上、区分(遮断)されていることが必要である。したがって、日本式家屋の障子、襖やベニヤ等の取り外しが容易なもので仕切られているような場合には、建物の構成部分としての障壁が設けられているとは認められないことから、構造的に区分されているとはいえず、区分所有の目的とすることはできないと解される。 登記実務においては、既存の建物に接続して新築した接続部分が、木製のドアで仕切られているだけである場合の事案について、当該ドアを常時開けている状態においては何ら独立性はないといえるが、ドアが閉まっている状態においては、仕切り等のない通路等とは異なり、区分所有権の目的となり得る構造上の区分性を有している建物として取り扱って差し支えないとされている(昭和41・12・7民37⑵ 区分建物の要件
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