不書5
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 不動産を目的とする抵当権とは、当該不動産の所有者又は第三者(以下「物上保証人」という。)が占有を移転しないで債務の担保に提供した不動産を、当該所有者又は物上保証人に引き続き使用・収益させながら、被担保債務の弁済がされなかったときには、目的不動産を競売して、その競売代金から他の債権者に先立って弁済を受ける権利である(民369条1項)。 抵当権は、債権者と目的不動産の所有者又は物上保証人との設定契約によって成立する約定担保物権である(同法176条)。 上記⑴のとおり、民法が定める抵当権は、その目的物が不動産に限られているため、動産に抵当権を設定することはできない。また、不動産を含む集合財産の上に1個の抵当権を設定することもできない。しかし、民法以外の法令によって不動産以外の物について抵当権の設定が認められているものがあり、そのうち、抵当権の設定、移転、消滅等の権利変動の対抗要件として、登記を要するとされているものは、次のとおりである。① 動産を目的とする抵当ア 農業用動産抵当(農業動産信用法12条) 農業用動産とは、トラクター、たい肥散布機、コンバイン、精選機、搾乳機、牛・馬等の農業の用に供される動産である(同法施行令1条)。11 抵当権の意義等⑴ 不動産を目的とする抵当権⑵ 不動産以外の物を目的とする抵当権第4章 抵当権に関する登記第1節 総 説第1 通 則

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