戸籍事務は,戸籍の届出の審査と受理を中心として展開されます。それは,戸籍制度が,国民の親族法上の身分関係の登録と公証を目的としているとともに,民法が,その身分関係の発生,消滅等の大部分を戸籍上の届出の受理によって効力を生ずるものとしていることによるものです。また,国民の身分関係の公証は,具体的には,戸籍の記載によって行われますが,この戸籍の記載は,届出を基礎とするものです。 このように,戸籍事務は,国民の身分関係を公証し,あるいはその形成等に関与するものであることから,戸籍事務担当者としては,戸籍制度の基礎である民法(特に親族法)及び手続法としての戸籍法等に対する知識・理解を深めることが強く要請されるところです。また,同時に,適正な戸籍の届出の受理ひいては戸籍記載の正確性の保持が求められるところです。 本書は,上記のような観点から,市区町村の戸籍窓口において戸籍の届出事件を処理する上で必要となる実体法や手続法等を理解するための一助となることを希って編さんすることとしたものです。具体的には,主要な戸籍の届出について,実体法及び手続法等において求められる諸種の要件やその要件あるいは処理をめぐって生じる疑問点や問題点を Q&A方式によって,極力簡潔,かつ,平明に(例えば,届出の審査・処理の過程で,自分の判断に誤りはないと思いつつも,念のため確認しておきたいというような場合に即対応できるようにとの視点で)解説を試みることとしたものです。また,各設問の索引の便を図るため,極力,設問に即した小見出しを付した上,これを目次に反映するよう配慮しました。 本書が新たに戸籍事務に就かれる方,あるいは現に戸籍事務に従事しておられる方々のために,多少なりともお役に立てることができれ初版 はしがき3初版 はしがき
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